イマジネーション1

2009年09月19日(土)15 : 53 : 58
PM8:11発に乗った帰りの電車は、
いつもより混雑している。
金曜の晩で一杯ひっかけた会社員たちが、
いつもより遅い電車に乗り込んでいる。

降車駅まで7駅。
六つ目の駅で人を掻いて入って来たのが、
小汚いまるで昭和30年代のガキだった。
着古したTシャツか、汚れたままのパジャマか見分けがつかない。
ズボンもそれと大差ない。
4、5歳ってとこか。
その後から之もまたヨレヨレの服を着た小柄な化粧気のない女性が入ってきた。
その胸にはちっちゃく丸まった2歳くらいの女の子(たぶん)が抱かれていた。
「メトロに乗って」ではないが、疲れた頭が時代を遡った錯覚をする。
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親子の周りにはわずかに隙間が開く。
背広のスラックスの間から男の子の顔がのぞく。
邪魔になるような大声でも高い声でもなく「座らなくてもいい」と繰り返す。
毅然として力強い目をしている。

この坊主は座らなくともよい。
でも、眼に力なく焦点がない母親は一刻も早く座らせたい。
混雑する電車で離れた他人に声をかける勇気はないが、
この坊主と目の会うのを待つ。

程なく視線を感じた坊主と目が合い、
「座るか?」と声をかけた。
「座らなくてもいい」という坊主を無視して立ち上がり人を掻き分け坊主へ近寄る。
見上げるように眼をまっすぐに見つめる坊主は「座らなくていい」と言う。
こいつには母親を守らなければならない理由があると感じる。

「おっちゃんは次で降りるんだよ」と言うと、
まだしばらく眼を見つめ座席へ移動していった。
母親はすみませんと言いながら後へ続いた。
隣に座っていた会社員も席を立つ。
安心してか胸に抱かれていた女の子が座席へ下され僅かにぐずり出した。

何があったのか?見れば若い綺麗なお母さんだ。
それなりの身なりなら、また違ったサラリーマンたちの眼を集めただろう。
隣の車両が女性専用車両で、普通ならそちらへ乗るところだが、
たぶん気付かず乗ったのだろう。

ただ単に隣の隣の駅のおじいちゃんところへ行く途中だったのかもしれない。
ただ単に買いものに行くだけだったのかも知れない。
ただ単に、

にしても想像を大いに膨らませられた。
坊主の頭を撫でればよかったと思う。

どこかで、幸せに元気にしてればいい!


ほんだらまた。
芸能論のたまう | Comments(0) | Trackback(0)
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